「おいしいコーヒーって、何でしょう?」
「どういうコーヒーであれば、おいしいと言えるでしょうか?」
唐突ですが、こう聞かれたとき答えることはできますでしょうか。
「どうって…結局、好みじゃね?」
と答える方もいらっしゃるかもしれません。ですが、本当にそうでしょうか。
コーヒーのおいしさは、好みで決まってしまうものなのでしょうか。
10人中10人とは行かないまでも、8〜9人はおいしいと言う"そもそもおいしいコーヒー"があって、
そこに好みが加わって"自分にとっておいしいコーヒー"になるのではないでしょうか。
初っ端から畳み掛けるような問いかけで、圧を感じてしまったならゴメンナサイ。
今回はこれまで私が学んできたことをご紹介しつつ、
"コーヒーのおいしさ"について正面から考えてみませんか?というお話です。
※因みに、ここでお話する内容が絶対の正解ではありません。
ただ、それでも10人中8〜9人には納得していただけるであろう内容であろうと考えます。
さて、最初の問いに戻ります。
「どういうコーヒーがおいしいと言えるのか」
この問いに答えるのが難しいなら、逆に
「どういうコーヒーを、マズいと思いますか?」
もしかすると後者のほうがちょっと答えやすいかもしれません。
「胃がムカムカしてくるような酸っぱさが苦手」
「喉の奥にいつまでも居座るような苦さが嫌い」
「焦げたような、煙臭いような香りがイヤ」
コーヒーの中には様々な味、香りがあり複雑に絡まってそれぞれの味わいがありますが、
上記のようなイヤな味は「好み」で表せるものではなく、"ほぼ誰もが不快に思う味"です。
逆に言えば、こういった味がない、あるいはほんの少しで抑えられていれば"おいしい"と言えるのではないでしょうか。
プロっぽい言い方をするなら「ネガティブがコントロールされている」ってやつです。ぜひこの言葉を覚えて使ってみてください。コイツ、やるな!?ってなります(笑)
さて、冗談はさておき。
ここまで、簡単に言えば
「(良い味が出ていて)悪い味が出ていないのがおいしいコーヒー」
って話をしてきました。
おいしいコーヒーが作りたい、そのためにコーヒーの中に悪い味を出さないようにするにはどうしたら良いか。
ここに、密接に絡んでくるのが温度と濃度です。
コーヒーにお湯をかけたときどれくらい味が出やすいか、というのを「抽出効率」というのですが、
抽出効率は湯温が高いほど高くなります。
効率なら高ければ高いほど良いような気がしてきますが、
良い味が出やすい代わりに、悪い味も出やすくなります。
「グツグツ煮立ったお湯を使うな!」
というのを聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、それは悪い味がたくさん出てしまうまで温度を上げない方が良いということなんですね。
因みに人間の口の中では、79℃を超えているとぬるいと感じないと言われています。
したがって、お湯の温度やカップの温度を調節し、
出来上がりのコーヒーの液温が79℃程度になるように作れば、ネガティブを抑えたホットコーヒーが淹れられるというわけです。
個人的には市販のコーヒーを淹れるときでも、
湯量などは量らなくて良いから、湯温は計ることをオススメします。
続いて濃度。薄すぎても濃すぎてもよくありません。
厳密に言えば液体中のショ糖の量、Brix値を計測して自分の感覚と、数値が合致することを確認するのが一番なんですが
あまりにも面倒ですし(!)、計測器も高額なので、ざっくりと濃いめに淹れて、その日の体調や気分に合わせて薄めるのがオススメです。
更に、温度と絡めた応用編。湯温が高ければ抽出効率が上がるということは、低ければ抽出効率が下がる、すなわち悪い味が少ないけど味が薄いコーヒーになります。悪い味を出さずに濃度は上げたい…カンの良い方はお気付きでしょう。湯温低め、粉量多めという淹れ方は、おいしいコーヒーを作る手法の一つです。
あとはそうですね…水の硬度も重要ですね。
「山の湧き水で淹れたコーヒー」
とかいかにもおいしそうですが、コーヒー淹れるのに湧き水使うと
大体の場合マズく(やたら苦味が強調されたり)なります。
湧き水に含まれるミネラル分が、コーヒーの味に悪影響を及ぼすんですね。
大人しく水道水を使ったほうがよっぽどおいしく淹れられますよ!
#仙台に来てびっくりしたのは水道水の甘さ。
#色々な地域の水道水飲んできましたが、
#甘さだけなら全国トップレベルではないかと思います。
#なので、コーヒーの甘さと水の甘さを分けるのがちょっとムズいんですよね…
ここまで、身も蓋もない言い方をすれば
「悪い味が出ていないコーヒーはおいしい」
という話をしてきました。
雑味が一切ない、クリアなだけのコーヒーが必ずおいしいかというとそうでもないのですが、
それも一先ずは「皆が不快に感じる味が出ていない」という前提があってこそ。
ここから更に、甘みや旨味、良い酸味といった良いところを感じられるようになると、
コーヒーの世界がまた一段と面白くなってきます。
単なる焦げた豆(!)に秘められた、奥深い味と香りの世界が少しでも多くの方に伝われば…
元コーヒーマンとしてこれ以上の喜びはございません。